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俺の不貞腐れた態度は「お前の成績が悪いからPTに悪い印象持ってるんだろ?」で論破される類のものかもしれない。確かに的を得ている部分はある。俺だってもっと成績が良ければちょっとはマシな気分になってたさ。勝つと気持ち良いからこそ皆やってるんだしな。ただ、この指摘はネット社会の正義棒の香りもするんだよな。すなわち、PTを嫌いになったのはPTがダメだったんじゃなくて、PTでもっと上手くやれると思ってた俺自身の考え方が悪いんだ、ってね。

この主張に基づいた記事は全てを客観化するので結局筆者自身の事以外について何も説明できなくなるんだ。筆者がただのゲーマーやチアリーダーとして振舞って、PTそのものについては書かない記事がその最たるものだ。メジャーなMTGサイトであるStarcitygames.com、Channelfireball.com、TCGplayer.comに掲載されている全ての記事の特徴だよ。このタイトルを見てくれ:

SCG:「PT後のスタンダート」「PTでのアブザンコントロール」「ベルギーで良かった事、悪かった事」「イカサマされないようにするには」「PTテストデッキ」

「ベルギーで良かった事、悪かった事」はカードの事で、人やイベントや経験したことでは無い。「イカサマされないようにするには」は読者にイカサマしないよう啓蒙すると同時にMTGの豊富なイカサマ事例について書いていた。後者については後でまた触れる。

CFB:「パンテオンデッキテック」&いくつかのドラフトガイド

パンテオンって天使のファンアートや幼稚園レベルのフレーバーテキストに出てくるような単語だよな。

TCG:「プロツアータルキール龍紀伝アーキタイプ分析」「プロツアータルキール龍紀伝でのアタルカアブザン」「プロツアータルキール龍紀伝でより大きく、より赤く」

TCGプレイヤーはこの業界で最もなりふり構わず宣伝する奴らだ。なので記事の見出しが露骨にSEO対策されてるのを見ても驚かない。2015年4月に他にどんなPTがあったってんだ?

全ての記事において主題はカードであって経験についてではないんだ。ゲームについては沢山あるけどメタゲームについては無いって例えればわかるかな。
MTG以外について書いてある数少ない文節は鈍く、ポジティブで、役所的だ。「旅はクールだった」「世界のトッププレイヤーと試合できて素晴らしかった」「シャハールがクレジットカードゲームで負けてスシを奢ったんだぜ」

全てのMTG記事は基本的にクレジットカードゲームと同じと言える。自分が現実よりもクールで金持ちだってことをアピールする機会ってことさ。これはつまり筆者が(薄汚れた会場やマズいメシや貧困やそこらに転がってる死体といった)プロMTGシーンの現実から目を背てるってわけだ。

また、彼らは自分自身からも目を背けないといけない。皮肉なもんさ。だってMTGは本来プレイヤーの個性をウリにしないといけないはずなのに、筆者は個性を出しちゃいけないんだ。商業的な記事では誰も物議を醸すような事は書けない。もちろん、そんな神話のような記事を真に受ける読者にも責任がある。MTGに騙されてる奴らぐらいしかMTG記事の作り話を盲信してないけどな。という事はMTGプレイヤー以外にはあまり関係ないと思うじゃない?違うんだな。MTGやってなければより楽しめるんだよ。ギャラクシークエストみたいな映画が好きならこれらの記事をエンターテイメントとして読めるはずさ。こいつらを現代のドンキホーテとみなさないようにするには長年の自己欺瞞が必要になるからね。

アンソニー・ローリーは一番笑えるピカレスク書いてくれるね。スペインでの数多の大会で疲れきった彼はラ・マンチャでの人生について白昼夢を見るのさ。

ドン・キホーテはなぜ負けたかわからないから勝つことが出来ない。ローリーは自己弁護に近い文句をこう述べてる「俺のデッキ使って皆勝ってるんだ」。そして俺のリストよりしょぼいテムールドラゴンを3週間後に投稿するんだ。奴は俺よりもPT権利を有効活用してたかもしれないが、PT自体について記事を書くことはなかっただろう。


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MTGを上手くなることと平均的なMTG記事に読む価値が無いと気付くことは同意義だ。PTに初参加するのと他の参加者(そしてお前自身も)がしょぼいと気付くことも同意義だ。君が同じような状況のプレイヤー数名とプレイテストした時点で他の著名チームに遅れをとっているし、オンラインや紙でドラフトやりこむ時間を取れずに実戦で犯すであろうミスを潰せなかった。更に持っていくべきだったカードを忘れて、受付前日に現地入りした結果まだ時差ボケ&二日酔い状態なんだ。

賞金はごくわずか。参加者全体の18%しか賞金を貰えない。そしてその賞金を手にするまでいつも数ヶ月かかる。もし賞金総額がランダムに配られたとしたら平均$600をもらえることになるが、実際はそれよりもっと低いんだ。

俺は6ラウンドのうちラトビア人1人、ドイツ人1人、韓国人1人、そしてアメリカ人3人と試合した。奴らはそれぞれ大会の1、2、3日前に現地入りし、うち1人は月曜に帰らないといけなかった。「仕事」彼は言った。彼のスケジュール並みに会話は悲惨だったな。仮に彼らが面白く、友人になる価値があったとしても、しょぼいホールで睡眠不足でストレスかかってて賞金かけてカードやってる間は友達作るって雰囲気にはならないね。ベテランのプロ達が書く記事にはPTで「友人達に再会」とか書いてるけど、典型的なPTQグラインダーにとっては真逆さ。友達は皆アメリカにいて、それ以上の友達が出来ることは無い。セレブと知り合いになる?無茶言うなよ。彼らのグループには女か社会的地位のある奴らしか入れない。PTは孤独になり勝ちだ。でも他で孤独になるよりずっとずっとマシさ。

コメント

Pechiko
2018年6月1日23:55

トム・ジョーンズっぽくてほんと好きです。
マイペースでいいので完結まで頑張ってください。

しょっとこ
2018年6月2日0:06

いやー、いつの間にか1年も空いてしまいました!あと2回ぐらいで終わると思いますので、もう少々お待ちを!

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